研究概要 |
46症例のCIN I/II、75症例のCIN IIIと60症例の浸潤性扁平上皮癌(ISCC)を用いて、bcl-2, bax, Ki-67抗体による免疫組織化学、in situ DNA nick endolabeling法によるapoptotic cellの検出およびPCR法によるHuman Papillomavirusの検出を行い以下の結果を得た。 1) Bcl-2の発現は、37%CIN I/II, 64% CIN III, 20% ISCCに認められた。 2) Baxの発現は、41% CIN I/II, 37.3% CIN III, 40% ISCCに認められた。 3) HPV-DNAは、76.1% CIN I/II, 72% CIN III, 75% ISCCに認められた。 4) BaxあるいはHPV-DNA陽性群では、Bcl-2の発現はCIN IIIでCIN I/IIおよびISCC群に比べて優位に増加していたが、陰性群ではこのような関係は認められなっかた。 5) Apoptotic labeling index (ALI)は、組織学的な悪性度と同調して統計学的に優位な増加を示した。 6) Ki-67 labeling indexによる増殖能とALIとの相関関係は認められなっかた。 7) HPV-DNAとALIの関係は認められなっかた。 8) Bcl-2とALIとの間にも優位な関係は認められなっかた。 以上より、子宮頚部異型上皮および悪性腫瘍において、Bcl-2発現は、Bax発現及びHPVの存在により影響を受け、特にCIN IIIでその発現が増強する。Apoptosisは、腫瘍の組織学的な悪性度および進展と正の相関を示すがBcl-2発現との明らかな関係は見出すことができなっかた。
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