研究課題/領域番号 |
07770141
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
坂元 亨宇 国立がんセンター研究所, 病理部, 研究員 (40221270)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 大腸癌 / 肝転移 / 索状浸潤 / 接着斑 / チロシンリン酸化 / パキシリン |
研究概要 |
1、肝転移巣を含めほとんどが分化型腺癌からなる大腸癌が、浸潤先進部において局所性に索状浸潤像を呈する所見の有無、程度が肝転移の有無と相関する事が示された。そこで分化型腺癌の浸潤過程における細胞骨格、接着分子系の調節機構を明らかにするため、ディッシュ上でも分化型形質を示すSW116細胞株を用いて検討した。SW1116はTPA刺激により90分以内に接着班形成、伸展と細胞-細胞間接着の減弱を示し、この変化は可逆的であった。TPA刺激に伴い、接着班へのチロシンリン酸化蛋白の集積がみられ、特にパキシリンのチロシンリン酸化と形態変化の間には、濃度依存性、時間依存性において良好な相関関係がみられた。また抗インテグリン抗体を用いて伸展を抑制した状態においてもパキシリンのリン酸化は認められ、細胞-細胞間接着には著しい変化はみられなかった。以上の所見より、TPAによる刺激は、接着斑形成と強い関連を示すパキシリンのチロシンリン酸化を介して更に細胞-細胞間接着の減弱を生じ、腺管の極性の消失、伸展を生じている事が示唆された。カドヘリン、カテニン分子の細胞-細胞間接着面からの消失の機構については明らかでないが、βカテニンの核への移行が認められた。このモデルは、細胞-基質間及び細胞-細胞間接着分子間の相互作用、並びに分化型腺癌の浸潤機構の解明に寄与するものと考えられる。 2、6種類の分化型大腸癌細胞株をSCIDマウスの盲腸に同所性に移植し、その増殖形態と、肝転移性について検討した。肝転移の頻度から、高転移群、低転移群、各3株ずつに分類され、高転移群では、人体例と同様に、血管の豊富な間質を誘導し索状に浸潤する像がより強くみられることが示された。これら2群の違いにつき更に検討を行っている。
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