研究課題/領域番号 |
07770156
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 浩史 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (80253847)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 肥満細胞 / プロテアーゼ / プロテアーゼインヒビター / トリプターゼ / スナネズミ / キマ-ゼ / ラット / インターアルファトリプシンインヒビター |
研究概要 |
肥満細胞は生体内に広く分布し、アレルギー疾患や寄生虫疾患などに重要な役割を果たしていると考えられている。肥満細胞には粘膜型(MMC)と結合組織型(CTMC)が存在し、特にMMCはアレルギー疾患や寄生虫疾患に伴って気管支粘膜や腸管粘膜に多数出現する。MMCもCTMCも胞体顆粒内にセリンプロテアーゼ群(MCP)を持っており、脱顆粒プロセスや脱顆粒後の炎症像に深く関与していると考えられている。しかし、我々や他者のこれまでの研究から、MCP群の発現は動物種(ヒト、ラット、マウス、スナネズミなど)によって、またMMCとCTMCとで異っていることが明らかにされた。特に我々の研究により、スナネズミにおける群の発現は、ヒトやラット、マウスとまったく逆の分布していることが明らかになっている。これら肥満細胞の多様性がどのような生物学的意義をもつのか現在でも不明である。昨年、我々は、ラット腹腔肥満細胞から精製されたMCPIであるトリプスタチン(TS)が血清プロテアーゼインヒビター(PI)であるインターアルファートリプシンインヒビター軽鎖(ITI-LC)であることを報告した。しかも肥満細胞ではTS/ITI-LCのmRNAは検出できず、肥満細胞はこれを血液中から取り込んでいることが示唆された。また、種々の動物のTS/ITI-LC cDNAをシークエンスし、活性中心付近に動物種によって非常に異なる領域があることを報告し、TS/ITI-LCの標的酵素であるMCP群に対する抑制活性が、動物種によって異なる可能性を示唆した。一方、MCP群遺伝子はヒト、マウスを中心にクローニングされているが、ラット、スナネズミでは、まだ2種しか報告されていない。前述のとおり、MCPI/ITI-LCのMCP群に対する抑制活性は、動物種によって異なる可能性があるので、それぞれの動物のMCP群とMCPI/ITI-LCの親和性の検討は非常に重要である。このような背景から今年度は、ラット、スナネズミの複数のプロテアーゼ遺伝子をクローニングし、その発現を含めてマウスの当該遺伝子と比較検討した。その結果スナネズミMMCは、マウス、ラットCTMCと同じヘパリンを持ち、マウス、ラットCTMCでのみ発現されているプロテアーゼを持っていたが、マウス、ラットMMCで見られるコンドロイチン硫酸やMMC型のプロテアーゼは認められないことがわかった。最近、ラットMMC型プロテアーゼがマトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)の活性化を担っていることが報告された。マウス、ラットMMCは粘膜上皮内に遊走するが、スナネズミMMCは決して上皮内に移動することはない。したがって、この差異はスナネズミとマウス、ラットのMMCのプロテアーゼ群の発現の違いに関連している可能性が示唆された。
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