研究課題/領域番号 |
07770177
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
矢ノ下 玲 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学研究部門, 研究員 (00224915)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ミスセンス変異p53cDNA / 活性H-ras遺伝子 / REF / 転移能 / ゼラチナーゼ |
研究概要 |
癌の転移には原発巣からの遊離、基底膜への接着、破壊の過程が必須であり、これにはマトリックスメタロプロテアーゼ等種々のプロテアーゼの関与が明らかにされつつあるが、詳細は不明である。転移機構の解明には高転移クローンを得て転移性のない細胞との間でプロテアーゼ活性や遺伝子発現を比較することも役立つと考えられる。一方、我々はヒト大腸癌の発生過程において、p53遺伝子の突然変異と対立遺伝子欠失が腺腫から早期癌への転換に重要であること、変異は殆どがミスセンス変異であり6つのホットスポットがあることを既に報告した。そしてこれらのホットスポットに含まれるミスセンス変異p53cDNAを作製し、活性H-ras遺伝子(pSK2, pHs49)と共に初代培養ラット胎児細胞(REF)に導入し、出現した形質転換体フォーカスからヌードマウス皮下での造腫瘍性を有する形質転換クローンを6種(238Arg/pSK2、245Ser/pSK2、245Asp/pSK2、245Asp/pHs49、248Trp/pSK2、273Cys/pHs49)樹立している。これらの転移能を調べるためヌードマウス皮下および尾静脈から移植したところ、6つのクローンすべてが肺へ転移することが認められた。6つのクローンのうち5つはDNA aneuploidyを示しており、変異p53の導入が何らかの遺伝子変化を引き起こし、REFが転移能を獲得したと予想された。また、ゼラチンザイモグラフィーにより6つのクローンは92kDゼラチナーゼ活性を培養上清中に放出することが認められたが、元のREFでは認められなかった。形質転換クローンの転移能に92kDゼラチナーゼ活性が関与していると考えられる。今後さらにこの転移能の獲得に関連する遺伝子変化等を解析する。
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