研究課題/領域番号 |
07770184
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
丸山 治彦 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (90229625)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | トレフォイルペプチド / ITF / N.brasiliensis / goblet cell / intestine / musin / クローニング / 実験大腸炎 |
研究概要 |
【目的、方法】Intestinal trefoil factor(ITF)は、最近ヒト及びラットからクローニングされたtrefoil peptideと呼ばれる消化管ペプチドファミリーの一つである。ITFの発現部位は、主に小腸、大腸の杯細胞に限局しており、クローン病にみられるulceration-associated cell lineage(UACL)にも強く発現していることから、杯細胞の分化、増殖に関与すると推測されている。しかし杯細胞の変動時におけるITFの発現についてはまだ報告がない。そこで、reverse-transcription法およびRACE(rapid amplification of cDNA ends)法を用いてマウスITF(mITF)cDNAクローニングを行い、次に以下のような杯細胞数の変動がみられるモデルを用いて、mITFの発現との関連を調べた。(a)寄生虫感染モデル:腸管寄生虫Nippostrongylus brasiliensis成虫100隻をC57BL/6マウスの小腸に直接移入し作製。(b)大腸酢酸潰瘍モデル:5%酢酸0.1mlをC57BL/6マウス直腸に注入し作製。 【結果】(1)mITFcDNAをクローニングし、全450塩基の配列を決定した。(2)寄生虫感染モデルでは、小腸杯細胞数は感染後5日目に約3倍に増加し、7日目の寄生虫排除の時期に一致して非感染時のレベルに回復した。この経過中杯細胞数の変動にもかかわらず、mITFmRNA量は変化がみられなかった。(3)大腸酢酸潰瘍モデルでは、大腸杯細胞数は、酢酸投与後1日目に約1/3に減少し、その後5日目までに徐々に非投与時のレベルに回復した。大腸のmITFmRNA量は、杯細胞数がいったん減少する時期に軽度低下し、杯細胞数が回復する時期に一致してその量は約2倍に増加した。 【まとめ】ITFは杯細胞の分化、増殖に関与すると推測されているが、その発現は必ずしも杯細胞数の変動と一致しないことがはじめて示された。大腸杯細胞数減少からの回復時にはmITFの発現は増強し、大腸粘膜の正常化に重要な因子であると考えられた。一方小腸での杯細胞数増加時にはその発現に変化はみられなかった。これらの結果からmITFは杯細胞数の増加時と減少時、あるいはその発現部位により、その機能が異なることが示唆された。
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