研究概要 |
RaRFの遺伝子構造を決定し,ついでその構成成分であるP100プロテアーゼとレクチンMBPの変異の多様性を明らかにし, RaRFと易感染性との関係を調べ,将来的には易感染性体質の遺伝子診断法への応用等の成果を期待して本研究を実施している.本年度は, P100成分のゲノム遺伝子構造の決定,遺伝子の多型(多様性)解析のための基礎的な条件設定の検討,及びスクリーニング対象サンプルの収集を行った. 1.ヒトP100蛋白の遺伝子構造 (1) P100蛋白をコードしているゲノム遺伝子の上流域に新たなエクソンの存在が明らかとなり,その結果,P100蛋白は16エクソンで全長36kb以上にわたっていることが明らかになった. (2)プロテアーゼ領域を構成するエクソンのコドンの接合部の特徴から, P100はこれまでに知られているどのセリンプロテアーゼとも異なった分子進化をしていることが推定された. 2.ヒトP100遺伝子の多型解析 (1)エクソン増幅に用いるPCRプライマーを設計するために,イントロン内部の正確な塩基配列を決定した. (2)各エクソンを特異的に増幅するためのPCR条件を検討した.全16エクソン中15エクソンについてPCR増幅を試み,これまでに8エクソンについて特異的な増幅が可能な条件を設定した. 3.サンプル収集 当大学病院小児科学教室の協力を得ておよそ60サンプル分のゲノムDNAを収集した. 4.今後の展開 (1)すべてのエクソンを増幅するPCR条件を設定する. (2)収集した患者サンプルと一般正常人サンプルとの間で各エクソン毎のPCR-SSCPによる多型検索を行い,エクソン内での多型の存在を同定する. (3)見つかったすべての多型部分の塩基配列を決定する.
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