研究概要 |
MRSAのメチシリン高度耐性化を規定する遺伝子のクローニングを行う目的で、以下の実験を行った。 1.メチシリン低濃度存在下では増殖できないがメチシリン高濃度存在下では増殖できる、Eargle-typeMRSAであるN315h4株の染色体DNAを制限酵素Sau3A1で不完全切断し、2〜6kbの断片を切り出した。これを温度感受性のオリジンと、テトラサイクリン耐性遺伝子を持つベクターpYT3にクローニングした。 2. N315h4株染色体DNAのプラスミドライブラリーを、mecA、mecl遺伝子を持つメチシリン感受性株N315株にエレクトロポレーションにより導入し、22,580の形質転換株を得た。 3.プラスミドが導入されたN315株を、メチシリン10μg/ml含有平板と100μg/ml含有平板にレプリカし、メチシリン100μg/ml含有平板でより増殖している株を3株得た。このうち2株のプラスミドは、同一のDNA断片を含むことがわかった。 4.得られた2つのプラスミド(p10-2、P3-2)をN315株にエレクトロポレーションにより導入したところ、N315h4株と同様なEagle-typeの耐性パターンを示し、メチシリン中等度耐性株のN315LR5株に導入したところ、高度耐性化した。 得られたDNA断片の塩基配列の決定を行った。
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