研究概要 |
本研究では、光学異性リピドAアナログの合成とともに、LPSアンタゴニスト開発の一環として、数種のサクシニル化リピドAアナログを化学合成した。 (1)光学異性リピドAアナログの合成:(S)-3-OHC14は、従来法により調製した(R,S)-3-OH C14MeをTHF溶媒中ビニルアセテート/リパーゼ処理し、(S)配座脂肪酸リッチの3-OAc-C14Meを調製した後、カルボキシ基の保護基を除去し、DBA塩に変換して光学分別結晶により合成した。L-グルコサミンの調製は多大な時間を要し、現在、合成段階にある。L-グルコサミンの合成が終了次第、(S)-3-OHC14およびリン酸の導入を順次行い、完全光学異性リピドAアナログを合成する。D-グルコサミンから成る通例のリピドAバックボーンに(S)-3-OHC14を導入した部分光学異性リピドAアナログは、申請者と共同研究をしているグループによりすでに合成された。 (2)サクシニル化リピドAアナログの化学合成:リピドAバックボーンの2,3,2′,3′位に結合する(R)-3-OHC14の水酸基に各々1分子のサクシニル基を導入した2-Suc-406、3-Suc-406、2′-Suc-406、3′-Suc-406および3,3′位の脂肪酸に同基を導入した3,3′-di-Suc-406の化学合成が終了した。現在、これらのリピドAアナログの生物活性について検討しており、予備試験の階段ではあるが、興味ある知見を得ている。これらの成績は、第69回日本細菌学会総会(福岡)において発表する。
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