研究概要 |
(目的)本研究は、ヘルペスウイルスにおいて細胞への侵入に重要な役割を果たし、宿主の中和抗体の標的となる糖蛋白B(gB),糖蛋白H(gH),糖蛋白L(gL)のヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)相同糖蛋白の遺伝子解析、発現蛋白による抗原性の解析、単クローン抗体の作製を目的とした。 (方法)1,HHV-7 gB,gH,gL相同遺伝子の解析;HHV-7ゲノムを65%カバーするライブラリーを作製、それよりgB,gH,gL各遺伝子をもつクローンを同定し、各糖蛋白の塩基配列を決定した。 2,各糖蛋白の発現、解析;gB,gHは、免疫原性が強いと予想される領域を、gLは全ORF領域をGST融合蛋白として大腸菌に発現させた。これをマウスに免疫し各抗血清を調整し、HHV-7感染細胞を用いた免疫沈降反応(IP)を行った。大腸菌発現蛋白に対しヒト血清によるウエスタンブロット法(WB)を行った。 3,糖蛋白に対する単クローナル抗体の作製;免疫原は粗精製ヴィリオンを用い、全gB遺伝子を一過性発現させた動物細胞を用いた蛍光抗体法によりスクリーニングし、抗gB単クローン抗体の作製を行っている。 (結果、考察)gB遺伝子の塩基配列はヘルペスウイルス科の中で特に保存されている1つである。今回のHHV-7gB遺伝子解析よりβヘルペス亜科のHHV-6に近縁であることを証明し、他の2つの糖蛋白の配列解析もこの結果を支持していた。GST融合蛋白を用いたIPよりgHとgLはheterodimerをつくり感染細胞に存在した。gBは自身がcleaveされprocessingを受けること、糖付加をされることを証明した。WBでは血清と反応する発現蛋白はなく、用いた発現部位はヒトに抗原性が弱いか無い事が示唆された。単クローナル抗体の作製は現在2つの抗gB特異単クローンが採れさらに作製中である。
|