B細胞抗原レセプターシグナル伝達機能分子p52に対するモノクローナル抗体19-14を用いて単離したα4遺伝子はそのアミノ酸配列から、既知のキナーゼドメインは有しないものの、protein kinase C、casein kinase IIによってリン酸化を受けると思われる部位が5ヶ所づつ存在する。α4遺伝子をpGEX-3Xベクターに組み込み、大腸菌内でGSTとの融合タンパクとして発現させ、GST-α4がprotein kinase Cとcasein kinase IIの精製酵素によってin vitroでリン酸化の基質となるかを検討した。その結果、GST-α4はin vitroで両方の酵素のリン酸化基質となることが明らかとなった。次に、α4遺伝子産物の機能ドメインを明らかにする目的で、5'側及び3'側欠失変異体を5種類づつ計10種類作製し、各々をGSTとの融合タンパクとして発現させた。これらの遺伝子産物を抗ホスホチロシン抗体によるウェスタンブロット解析を行うと、完全長のGST-α4は大腸菌内でチロシンリン酸化を受けており、さらに欠失変異体の解析から、このチロシンリン酸化にはC末端側60〜70アミノ酸が必要であることが明らかとなった。大腸菌内にチロシンキナーゼは存在しないという報告より、α4遺伝子産物にはチロシンキナーゼ活性を有する可能性があり、今までに報告されていない新しいタイプの機能分子として解析を行っている。
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