研究概要 |
和歌山県太地町(人口4142人)において1993年6月に40〜79歳の全住民の中から女性各年代50人、計200人をランダムに選び、本調査の対象とした。対象者にはDual energy X-ray absorptiometry(Hologic QDR 1000)を用いて腰椎L2-4の骨密度を測定した。さらに面接調査により月経歴、妊娠歴、出産歴、月経状況を把握し、血液検査を行った。血液は採血後直ちに血清分離を行い、-80℃で保存した後、総エストラジオール(total E2)、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)、%SHBG-unbound fraction値を測定した。total E2、SHBGはRIA法で、%SHBG-unbound fraction値はdextran-charcoal法で測定し、ここからSHBG-unbound E2(UB-E2)、SHBG-bound E2 (BE2)を計算した。 月経状況の問診から、200人を未閉経群(55人)と閉経群(145人)に分け、年齢の平均値(標準偏差)をみたところ、未閉経群45.1(3.8)歳、閉経群65.3(8.1)歳と閉経群の方が約20歳高かった。また、L2-4骨密度値を比較したところ、未閉経群1.06(0.14)g/cm2、閉経群0.82(0.16)g/cm2となり、閉経群の方が有意に低かった。次に未閉経群でのtotal E2の平均値は42.4(29.7-55.1)pg/ml、閉経群で1.6(0.4-2.8)pg/ml,UB-E2は未閉経群23.6(16.3-30.9)pg/ml、閉経群1.1(0.2-1.9)pg/ml,B-E2未閉経群18.8(13.1-24.5)pg/ml、閉経群0.5(0.2-0.8)pg/mlといずれも閉経後は著しく低下していた。未閉経群55人について、L2-4骨密度と血清エストロゲンとの相関を年齢を一定にした偏相関係数でみると、いずれの血清値とも関連が認められなかった。閉経群145人について、L2-4骨密度とエストロゲン値との偏相関はいずれのエストロゲン値とも有意な正の相関を認めた。 このことから、閉経後女性において血清エストロゲン値は骨密度と有意な相関があることがわかった。
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