研究概要 |
Type A行動パターン(TABP)の問診票による評価法の一つとして、Bortner自己評定尺度について検討した。学生被験者およびホワイトカラー男子集団におけるBortnerスコアの信頼性係数は0.52-0.65で、実用に耐える信頼性が示された。Bortnerスコアは東海大式タイプAスクリーニングテストスコア、KG式日常生活質問票タイプAスコアおよび前田のBrief-Questionnaireスコアと正相関し、MPIの外向性スコアとも正相関がみられたことから、内容的・併存的妥当性も支持された。某企業の定期健診受診者(ホワイトカラー男子223名,平均年齢31.1yr)に問診票の一部として同尺度を適用した結果、Bortnerスコアにより評価されたTABPは、喫煙習慣・飲酒習慣・残業時間および肥満度と正相関しており、血中HDLコレステレロールレベルとは負相関していた。TABPと抑うつ度(SDSにより評価した)および自覚的な仕事の達成感・仕事の自由度とは負相関がみられた。しかし、Bortnerスコアと熟眠感および運動習慣との関連はみられなかった。心拍変動から評価した安静臥位・立位における自律神経系の活動性および立位負荷時のこれらの変動は、これらに対する年齢・肥満の影響を調整した場合、いずれもTABPと相関がなかった(ただしこれら自律神経系活動性は、残業時間・通勤時間と関連がみられた)。Bortner尺度により評価したTABPとストレスあるいはストレス関連疾患との関係の検討においては、以上の点に留意する必要がある。他方、Bortner尺度に比べ東海大式タイプAスクリーニングテストは信頼性が低かった。後者と生活習慣等との関連については引き続き検討中である。
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