研究概要 |
ナイモウオウギ培養細胞による免疫増強物質(1P)の生産に最適な培養条件の解明を目的として検討を行なった。まず、光、温度等の物理的培養条件について検討したが、培養細胞による一Pの生産性との相関関係は認められなかった。 次に、基本培地、成長ホルモン等、化学的培養条件について検討したところ、培養細胞の増殖と1Pの生産の間には、負の相関関係が存在することが明らかとなった。すなわち、細胞が活発に増殖するような基本培地(Murashige-Skoog培地)による培養条件下では1Pの生産は、ほとんど確認されなかった。しかし、細胞がほとんど増殖しない基本培地(White培地)による培養条件下では、1Pの生産が確認された。この傾向は、成長ホルモンについても同様であった。すなわち、2,4-D、NAAなど細胞の増殖に適した成長ホルモンを培地中に添加した場合、1Pの生産は、ほとんど認められなかった。 研究者らは、既にオウギ(黄耆)から1Pを精製し、1Pの活性本体が、糖タンパク質あるいは、多糖類であることを確認している。従って、本研究においても培地中に添加する糖に関する検討は重要であると思われる。培地中に添加する糖の種類について検討したところ、糖の種類により、1Pの生産性が異なっていた。すなわち、ショ糖より、グルコースを培地中に添加した方が、1Pの生産性が高かった 細胞株の違いによる1Pの生産性について検討した結果、細胞株により1Pの生産性が大きく異なることが確認された。この結果から、ナイモウオウギ培養細胞による1Pの生産性をさらに高めるためには培養条件についての検討に付け加え、1Pの生産性が高い細胞を選抜することが不可欠であることが明らかとなった。
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