[目的] Insulin dependent diabetes mellitus(IDDM)モデル動物であるnon-obese diabetic(NOD)マウスにおいて血栓症を引き起こすとされている抗カルジオリピン抗体(aCL)が血清中に出現することを明らかし、さらにaCLの機能を解析し、糖尿病性血管合併症の病態との関連を解明する。 [方法と結果] 1.雌性NODマウスより経時的に血清を採取し、ELISA法にてaCLを測定した。 (1)aCLはNODマウスの血清中に認められ、さらに加齢および高血糖により抗体価の増加が認められた。 (2)aCLの対応抗原はカルジオリピンおよびbeta2-glycoprotein I(GPI)一カルジオリピン複合体であった。 以上の結果よりNODマウスにおけるaCLは糖尿病性血管合併症の憎悪因子の一つとなる可能性が示唆された。 2.雌性NODマウスの脾臓よりリンパ球を分離し、RNAを抽出してリコンビナントファージ抗体システムを用いてリコンビナントaCLを作製した。 [今後の計画] 1.抗カルジオリピン抗体の凝固活性機能を解析する。 2.抗カルジオリピン抗体の抗原エピトープおよび凝固線溶活性部位を解析する。 3.作製した抗体をNODマウスに投与し実験的に血管合併症の発症を試みる。 以上の項目について今後検討する予定である。
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