クローン病の非乾酪性の肉芽腫形成は、本疾患の病理組織学的特徴の一つとしてよくしられるが、その形成機序や病態とのかかわりは十分わかっていない。我々は、手術標本をもちいて肉芽腫形成における細胞接着分子およびケモカイン(白血球に対し走化能をゆうするサイトカイン)の役割、そして肉芽腫とリンパ管・血管との関係を検討し以下の結果を得た。1)健常大腸粘膜の常在マクロファージ(M【.vertically divided circle.】)、潰瘍底の浸潤M【.vertically divided circle.】および肉芽腫構成M【.vertically divided circle.】について接着分子とケモカインの発現を免疫組織化学的に検討した。、肉芽腫構成M【.vertically divided circle.】は、CD11abc全ての白血球インテグリンを発現する活性化M【.vertically divided circle.】でありこのような表現型を有するM【.vertically divided circle.】は健常および潰瘍性大腸炎粘膜には認められなかった。ケモカイン発現では、健常粘膜の常在M【.vertically divided circle.】では発現は認められず、潰瘍底ではMCP-1の広範な発現を認めた。潰瘍性大腸炎の陰窩膿瘍では好中球に対し走化能を有するIL-8の著明な発現が認められた。クローン病の肉芽腫では他の病変部にみられなかったMIP-1αの発現がみとめられた。2)血管・リンパ管の同定については、アルカリフォスファターゼと5-ヌクレオチダーゼの酵素染色が必要であるが、4%パラホルムアルデヒッドおよびPLPなどの固定液では染色困難であり、現在固定法について検討中である。 以上より、クローン病の肉芽腫形成には、ケモカインのなかでもMIP-1αが密接に関係し、全ての白血球インテグリンを発現する非常に特徴的な活性化M【.vertically divided circle.】により構成されていることが明らかとなった。
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