研究目的 未刺激CD8T細胞を、C57BL/6マウス肺腺癌細胞3LL由来のH-2kb分子関連抗原ペプチド(変異Connexin37由来ペプチド)と線維芽細胞インターロイキン2(IL-2)存在下で共培養し、ペプチド特異的CD8T細胞を誘導することを目的とした。 研究結果 i.CD8T細胞を抗原ペプチド添加線維芽細胞とIL-2存在下で1ケ月間培養することにより、ペプチド添加同系マウス細胞に反応するCD8陽性T細胞細胞株が樹立された。この誘導系にはCD4T細胞は関与しておらず、またIFNsも必須のものではなかった。しかし_<51>Crを用いた4時間の細胞傷害試験においては、ペプチド修飾同系マウス細胞に対する殺細胞活性は低かった。 ii.我々の研究室で用いている3LL細胞には報告されたCon37の変異はみられなかった。 ii.誘導されたCD8T細胞は変異Connexin37遺伝子を導入した同系マウス細胞に反応し増殖した。一方遺伝子導入異系マウス細胞には反応しなかった。このことは変異Connexin37蛋白が、癌細胞内でprocessされたH-2Kb上に提示され、ペプチド誘導CD8T細胞を刺激していることを示している。 今回の我々の研究の試みによって、CD8T細胞をペプチド抗原存在下に線維芽細胞と共培養することで、ペプチド特異的CD8T細胞が誘導されることが明らかとなった。一方この方法で誘導されたCD8T細胞の殺細胞効果は低いことも明らかとなった。今後殺細胞効果を高めるための培養法の検討や殺細胞効果に関わる分子の遺伝子導入などの検討が必要と思われる。
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