研究課題/領域番号 |
07770449
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中野 亮一 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (00262444)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / スーパーオキシドジスムターゼ / 遺伝子変異 / フリーラジカル |
研究概要 |
本研究では家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)家系及び本邦の筋萎縮性側索硬化症(ALS)多発地帯として有名な紀伊半島のALS症例についてCu/Zn superoxide dismutase(SOD1)遺伝子変異の検索を行い、変異を有する例の臨床、病理学的特徴を明らかにすること、変異がSOD1蛋白に及ぼす構造あるいは機能上の影響を組換えDNA技術などを用いて明らかにし、運動ニューロンの変性機序に迫り、その結果をふまえて神経細胞障害の予防、治療への応用を探ることを目的とした。 新たに集積した症例のうち、FALS5家系、紀伊半島のALS5例についてSOD1遺伝子解析を終了しているが、現在の所変異を認めず、さらに検索を続行中である。一方、変異SOD1による運動ニューロンの変性機序の解明のため、以前われわれが本邦のFALSで発見したAla4Thr変異についてpulse chase法を用いて変異SOD1蛋白の安定性を検討した。その結果、COS7細胞に発現させたAla4thr変異ヒトSOD1の半減期は約18時間で、野生型SOD1の約1/4に短縮していることを明らかにした。このことはAla4thr変異SOD1が極めて不安定となっていることを示しており、運動ニューロンの変性に変異SOD1の不安定性が関与していることを示唆する。すなわち不安定な変異SOD1が崩壊する過程で分子内のCuやZnを放出し、細胞障害性に作用すること、変異SOD1が不溶化して細胞内に沈着し、細胞毒性を有すること(これに関連してAla4Thr変異を有する剖検例の脊髄前核細胞中に認めたLewy body-like hyaline inclusion中にSOD1が構成成分として存在することを明らかにした)、SOD1内部の活性部位が変形、露出して新たな細胞障害性フリーラジカルを産生すること、などの可能性が考えられ、今後これらについて早急に検証することが必要である。
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