研究概要 |
対象および方法 対象は,MD患者15例(平均年齢43歳,平均罹病期間15年)である.知能の評価にはWAIS-Rを用いた.MRI検査は海馬の萎縮および白質病変を評価した.海馬の断面積は3DFT Spoild GRASS法による再構成T1強調画像で,白質病変はMRIT2強調画像水平断で3段階(Grade0, 1, )に評価した.末梢血DNAのCTG repeatを測定し,それぞれの相関を検討した. 結果 1. DMの知能障害 WAIS-RではMD15例中9例(60%)が総合IQ (Full Scale IQ,以下FSIQ)80%未満であった.FSIQと罹病期間の間には有意な負の相関関係が認められた(p<0.005).各サブスケールにおける検討では積木模様(4.3±2.0),数唱(5.6±2.2)の点数が他の項目に比して低下していた. 2. CTG expansion MDにおけるCTG repeatの増大は最小は0.4kbpから最大7.2kbp,平均3.1±2.5kbp (mean±SD)で,Gene expansionの長さとFSIQの間に有意な負の相関を認めた(P<0.05). 3. MRI所見 (1)海馬断面積 海馬頭部の断面積はMD例では正常例に比較して有意に小さかった.またMD例において海馬頭部の断面積とFSIQの間には正の相関関係が認められた(P<0.05). (1)白質病変 15例中10例に白質病変を認め,白質病変が強い例ほどFSIQは有意に低下していた. 結論 MDの知能障害に海馬萎縮,白質病変が関与する可能性が示唆された.
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