研究概要 |
片頭痛の発作治療薬としてセロトニン受容体(5-HT_<10>-like受容体)アゴニストのスマトリプタンが開発され欧米ではすでに投与されている.その作用機序として,血管収縮作用およびtrigeminovascular theoryに基づく三叉神経終末からの神経ペプチドの放出に対する抑制作用および血小板のセロトニン放出抑制作用があげられている.本研究は,スマトリプタンと血小板との関係に注目しその血小板に対する作用機序を明らかにする目的で行っているものである.片頭痛患者の血小板機能に注目し血小板凝集能および血小板のセロトニン受容体の遺伝子解析を研究目標としている.今年度はまず血小板の注出を以下のように行った.まず,各患者群および健常者群の血液を3.15% sodium citrateを含んだ試験管に採血し,800×gで8分間遠心分離しprostacyclin (300ng/ml)を加え,800×gでさらに18分間遠心分離した.その沈殿にKrebs bufferを10-15ml加えて懸濁させ,さらにindomethacin (10 μ M), calcium (1 mM)を加えcell countし,絶対数1×10^8になるように希釈し,血小板を分離した.その後,患者群および健常者群の血小板サンプルに対してADP (2 μ M), collagen (1 μ g/ml), PAF (1 μ M)に対する血小板凝集能を透光度法で測定し,同様の検討をsumatriptan (50 nM), 5-HT_<10>-like receptor agonist methiothepin (50 nM)の存在下で検討しているが,まだ例数が少なく明らかな傾向は認められていない.また遺伝子解析については,現在各患者群および健常者群の血小板サンプルに対してtotal RNAをisothiocyanate/phenol/chroloform法で抽出しているところである.
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