研究概要 |
毛様体神経栄養因子(CNTF)は運動ニューロンをはじめとして様々なニューロンに生存維持効果を示す。ヒトにおけるCNTFの変異遺伝子は疾患の原因にはならないが、疾患の臨床・病理像に影響を及ぼす可能性がある。今回我々は孤発性ALSの中でも特異な臨床・病理像をしめす「痴呆を伴うALS」(ALSD)においてCNTF変異遺伝子の頻度を検討した。病理学的に確定診断されたALSD16例における変異遺伝子頻度は0.469であった。対照群として用いた病理学的にALSDでないことが確定したALS患者20例、臨床的に痴呆のなかったALS患者96例、正常対照群152例での変異遺伝子頻度はそれぞれ0.152、0.182,0.199であり、ALSD群と比べ、それぞれP<0.01,P<0.001,P<0.001で統計学的に有意の差が認められた。今回の結果はCNTF変異遺伝子がALSDの遺伝的危険因子になることを示している。
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