研究概要 |
ヒト血管内皮細胞の培養系を用いて、RIA法によるPGI_2産生量、Fura-2/AMをもちいた細胞質内遊離Ca^<++>濃度、Mag-fura-2/AMによる細胞質内遊離Mg^<++>濃度、BCECF/AMによる細胞内pHを測定した。またヒト血管内皮細胞のmRNAを抽出し、PGI_2産生系に関与するphospholipase A_2(PLA_2)、PGH_2 synthase(PGHS)などの各種遺伝子のmRNAの発現に及ぼす影響を検討します。特にPLA_2、PGH_2 synthase1(PGHS1)などの各種遺伝子のmRNA発現に関しては微量定量が可能なcompetitive PCR法を用いて定量的に測定し、また本測定系に及ぼす細胞質内遊離Ca^<++>濃度、細胞質内遊離Mg^<++>濃度、あるいは細胞内pHの影響について検討するとともに、mRNA発現、受容体刺激との関連において検討した。 以上の測定系におよぼす、thrombin、bradykinin、cyclic AMP、インターロイキン(IL)1αなどの種々の刺激物質の影響、High Density Lipoprotein(HDL)等の脂質の影響、およびangiotensin converting enzyme阻害剤(captopril,enarapril)などの降圧剤の影響について検討した。その結果thrombin、bradykinin、IL1α刺激によりPLA_2およびPGHS1のmRNA発現は亢進するが、亢進する時間はそれぞれの刺激物質によって異なることが判明した。HDL刺激によりPLA_2のmRNA発現は亢進するが、およびPGHS1のmRNA発現は抑制される。 cyclic AMP、およびcaptopril,enaraprilなどのangiotensin converting enzyme阻害剤はPLA_2のmRNA発現は亢進するが、PGHS1のmRNA発現は抑制されることが示されたが、この機序にはCa^<++>あるいは細胞内pHの関与を介さずに生じると考えられた。
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