研究概要 |
1.Walshらのalbumin desity法で作成した洗浄血小板をもちいてvon Will ebrand 因子、fibrinogen、 Caを添加したのちずり応力が負荷し、血小板凝集と血小板内Caイオン濃度の変化を測定した。血小板内Caイオン濃度は低ずり応力負荷時には変化を認めず、高ずり応力負荷時に増加した。高ずり応力負荷時の血小板凝集と血小板内Caイオン濃度の上昇はエピネフリン添加時にさらに増強された。この場合のエピネフリン濃度は通常の血小板凝集を惹起するのに用いられる濃度の10〜100分の1程度であり、それ自体では血小板凝集は生じなかった。血小板上のカテコラミン受容体のほとんどはα2受容体である。α2受容体の特異的阻害薬であるヨヒンビンをあらかじめ添加したあとでは、エピネフリンでみられた血小板の凝集、血小板内Caイオンの増加は認められなかった。 2.非特異的Caチャネル阻害薬であるLn,Zn,Mgといった2価イオンをあらかじめ添加して同様の実験をおこなった。高ずり応力で惹起れる血小板凝集は2価イオンの濃度依存性に抑制された。Caイオン濃度イオンを添加しない場合より抑制されたが、凝集の程度とは必ずしも一致しなかった。このことは、高ずり応力で惹起される血小板凝集における血小板内Caイオンが、必ずしも血小板凝集の全てを制御しているのではないことを示すと考えられた。同時に測定した血小板内cyclic AMP, cyclic GMP濃度には一定の傾向を見い出せなかった。一つには測定方法の問題があげられるが、prostaglandin E1で刺激した後も同様であったことから、高ずり応力で惹起される血小板凝集における血小板内Caイオンとcyclic AMP, cyclic GMPの関与は一義的ではない可能性が考えられた。
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