重篤な合併症を有さない急性心筋梗塞症58例を対象とし、梗塞回復期に医師監視型の運動療法を3週間施行した。運動療法は、最大酸素消費量の70%相当の強度で坐位自転車運動を3時間/週行った。運動療法前後で症候限界性心肺運動負荷試験を行い、心機能、末梢血管拡張能、自律神経機能等を測定し、運動療法の効果を検討した。 (結果)短期運動療法により最大酸素消費量は18.7±3.4⇒21.3±3.4 ml/min/kg と有意に増加した。安静時における心血動態諸量は運動療法前後で有意な変化を認めなかった。しかし、最大運動時の心拍出量、一回拍出量は運動療法後に有意に増大、運動時の心拍数、血中ノルアドレナリン、血中乳酸値、体血圧は運動療法後に有意な低下を認めた。また、パワースペクトル解析法を用いた心拍変動による運動時の自律神経機能は、運動療法により、低レベル運動強度では副交感神経機能の増大、高レベル運動強度では交感神経機能の減衰を認めた。プレチスモグラフィを用いた末梢血管拡張能は、運動療法非施行筋である前腕では不変、運動療法施行筋である下腿で有意に増加した。 (総括)短期運動療法により運動耐容能の増大、運動時心血行動態の改善、末梢血管拡張性の改善、自律神経機能の改善を認めた。
|