研究概要 |
ヒトNF-E2cDNAをプローブとしてヒトgenomicNF-E2をヒトgenomic libraryより単離した。ヒトgenomic libraryは健常人のリンパ球からDNAを抽出してファージのベクターに組み込んだ。ベクターはEMBL3を用いた。単離したクローンを解析した。筆者はEF-E2遺伝子のプロモーター領域の興味があったため、その部分の構造解析を行った。 プロモーター領域は5.2kbあり、種々の制限酵素で切ってみたところいくつかの認識部位を有していた。制限酵素の認識部位を利用して、5.2kb、4kb、1.2kb、600bpのインサートを作成し、東洋紡社のピカジーンベクターに組み入れた。ピカジーンによって発現された蛋白は蛍光により発光する。 ピカジーンベクターに組み込まれた種々の大きさのコンストラクトをバクテリアに入れ、形質転換した。そしてそれらのバクテリアを大量培養し、プラスミドDNAを抽出した。 これらのDNAを種々の細胞株に遺伝子導入した。主として用いたのは赤芽球前駆細胞株HELおよび骨髄芽球細胞株HL-60であった。細胞導入は電気穿孔法を用いた。 遺伝子導入された細胞をRPMI1640,10%FCSにPMAを加えたもので3日間培養し、加えないものをコントロールとした。培養後細胞をSDSで融解し、蛍光分光光度計により発現を定量した。 HEL細胞のものとHL-60細胞のものと比べると有意に前者の発光が高く本プロモーターは細胞特異的に機能しているものと考えている。しかしPMA刺激によりさらに機能の亢進が認められ、我々の予想に反していた。おそらく制作したプロモータのさらに上流にサイェンサー領域があり、それを含んでいないためと考えている。事実発光は0.6>1.2>4>5.2の順であり、大きいコンストラクト程活性は高い。現在塩基配列を決定し、転写活性に重要と考えられる部分を同定中である。本研究の要旨は今年度の臨床血液学会で発表し、論文としてまとめる予定である。
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