研究概要 |
6〜16才の気管支喘息児51名において4種のゴキブリ特異igE抗体をRASTおよびCAP-RASTにて測定した。ゴキブリ特異lgE抗体陽性率はRASTでクロゴキブリ17.6%、チャバネゴキブリ29.4%、ワモンゴキブリ19.6%、ヤマトゴキブリ15.7%であり、CAP-RASTではクロゴキブリチャバネゴキブリとも15.7%であった。また、この4種のゴキブリRASTを陰性と陽性に分けて検討すると相関関係が認められた。33名の小児気管支喘息患者ではクロゴキブリRAST陽性と重量/容量で1万倍の皮内テストの結果は有意な相関関係を認めた。クロゴキブリおよびチャバネゴキブリ虫体と糞のRASTは相関関係を認め、2名のゴキブリ陽性患児血清を用いたimmunoblot法ではチャバネゴキブリの虫体と糞にそれぞれ共通の52kdおよび76kdの感作抗原分画を認めたが、2名では感作分画は異なっていた。2家屋においてELISA法で測定した室内塵1gあたりのチャバネゴキブリ抗原Bla gl量は、寝室に比較して台所+居間で有意に高値を示し、月別の変動が認められた(それぞれの家屋塵で寝室 0.0〜4.2lU/g dust, 0.1〜0.9IU/g dustに対し台所+居間0.5〜7.5lU/g dust,0.3〜4.3lU/g dust)。ゴキブリ抗原吸入誘発試験では即時型の気道反応を示し、RAST抑制試験ではゴキブリ抗原によりダニRASTは抑制されなかった。以上より小児気管支喘息においてゴキブリはダニとは異なる吸入性アレルゲンとして本邦でも注目すべきと考えられ、ゴキブリの多く生息する台所・居間を中心とした駆除による環境整備が必要である。
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