HCV感染小児の血清中ウイルス量(HCV RNA量)の経時的変化について、branched DNA probe assay(bDNA法)を用いて検討した。その結果、小児の場合も成人と同様に、血清中ウイルス量はbDNA法でcut off値以下から10^8Meq/mlと幅広く分布していた。また高ウイルス量(10^7Meq/ml以上)の症例はgenotype II型で42%と低率でなかった。経時的に観察すると、急性期の血清中ウイルス量は感染後3〜5ヵ月をピークとして増加し、その後数ヵ月で急速に減少した。ウイルス量の推移は血清GPT値の動きとほぼ一致していた。一方、慢性期では、血清中ウイルス量は1〜10Meq/mlを推移する症例が多く、血清GPT値の動きと一致しておらず、感染後2〜6年程度経過してからウイルス量が安定化した。成人に比較して感染後の経過期間が短い症例が多い小児では、血清中ウイルス量を評価する場合、経時的観察が必要であると考えられた。今後成人に至るまでの自然経過の解明とインターフェロン療法施行例での効果予測並びに適応に関して検討していきたい。 第2世代HCV抗体陽性妊婦から出生した児についてretrospective studyを行った。経過観察し得た47例中4例にHCV感染が証明され、母子間のgenotypeは一致した。2組の母子について分子系統樹による解析を行ったところ、母子のクローンは近接して存在し、母のdiversityは児のそれより高く、母から児への感染を支持した。母のウイルス量は感染例では3.0〜24.0Meq/mlで、非感染例の<0.5〜34.0Meq/mlより有意に高値であった。感染した児4例中1例で、生後2ヵ月から血清GPT高値を認め、ウイルス量は37.0Meq/mlと高値であったが、生後7ヵ月で一旦HCV RNA(RT-PCR)陰性化し、その後再陽転した。血清GPT値異常を認めなかった3例では、ウイルス量は高値を持続した。現在、HCV浮遊密度や経胎盤血液移行量等、母子感染要因に関して検討中である。
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