平成7年度新たに、45例の小児好中球減少症患者血清の検査依頼が国内各施設からあった。これらの検体を間接免疫蛍光法にて検索したところ、28例が抗好中球抗体陽性であった。このうち、抗体の特異性を決定できたものは12例で、抗NA1抗体が10例、抗NA2抗体が2例であった。また、28例の免疫性好中球減少症のなかで、同種免疫性と考えられる症例が8例、自己免疫性と考えられる症例が20例であった。自己免疫性好中球減少症と診断した20例のうち、リンパ球が入手可能であったのは、11例でこれらの検体から、Sambrookらの方法でDNAを抽出した。患者自身のNA抗原のタイプを検定するため、得られたDNAを鋳型としてPCR-SSCP法をおこなった。NA1/NA1が6例、NA1/NA2が3例、NA2/NA2が2例であった。抗NA2抗体の認められた2例が、NA2/NA2のタイプをしめた。 血清学的なHLAタイピングを11例について行ったことろ、5例でHLA-DR2が陽性であった。今年度までの症例とあわせて、コントロールに比して有意にHLA-DR2の偏りが認められた。 平成7年度の症例とこれまでの蓄積で合計90例の小児自己免疫性好中球減少症のDNAが保存された。また、コントロールとなりうる同年齢層のDNAを、新たに30例保存した。今後、これらのDNAを用いて、HLAのDNAタイピングを行って行く予定である。
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