【目的】我々は川崎病の免疫病態の基本はマクロファージ/モノサイトの活性化であことを報告してきた。これを支持する研究結果として皮膚生検組織で血管周囲へのCD14陽性マクロファージ/モノサイトの浸潤、末梢血でCD14陽性マクロファージ/モノサイトの増加、その活性化抗原であるCD23の発現増強、TNFαをはじめとするサイトカインの産生亢進などがあげられる。そこで我々は免疫担当細胞を特異的に分離することができる、マグネティックセルソーター(以下MACS)を用いて、川崎病患児のCD14陽性のマクロファージ/モノサイトを分離し、その形態を電子顕微鏡で観察した。 【対象および方法】磁気を帯びたマイクロビーズのついたCD14モノクローナル抗体を末梢血免疫担当細胞と反応させた後、強力な磁場の中においたカラムを通しCD14陽性マクロファージ/モノサイトを分離した。対象は川崎病の患児5例(年齢3カ月〜3歳5カ月、平均年齢1歳8カ月、平均病日5日)、細菌性股関節炎(年齢10カ月)、伝染性単核症(年齢1歳)を疾患コントロールとした。分離したCD14陽性マクロファージ/モノサイトにグルタール固定、オスミウム後固定、エポン包埋などの処理をほどこし電子顕微鏡で観察した。 【結果】MACSによって分離した川崎病児のCD14陽性マクロファージ/モノサイトは、疾患コントロールに比べて核が複雑に分葉し、核小体が明瞭なものが多く認められ、細胞質内に非常に多くの顆粒が認められた。densityの高いものや低いものなど様々な顆粒を認めたが、特異的な封入体は認められなかった。これらの所見は重症例ほど強く特に冠動脈病変合併例で強く認められた。 【考案】マクロファージ/モノサイトのこのような形態は旺盛な貪食時またはサイトカインなどの物質を産生している場合が考えられる。
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