研究概要 |
気管支喘息の病態は,従来の気管支の攣縮を主体とした概念から,好酸球,リンパ球などの種々の炎症細胞による気管支の慢性の炎症性疾患であるという概念に変わってきている。その中でも特に好酸球が重要視され,その活性化の指標として末梢血中の好酸球顆粒蛋白が測定され検討されている。これまではECP(eosinophil cationic protein)についての検討が多かったが,今回は気管支喘息患者を対象として末梢血のEPX(eosinophil protein X)値の検討を行った。 対象は小児気管支喘息患者50人,発作時29人,非発作時29人でうち8人は発作時と非発作時の両方測定した。コントロール群は本人にアレルギー疾患のない健康小児13人とした。発作時群と非発作時群の血清EPX値の間には有意差を認めなかった。同一患者でも発作時と非発作時の間に有意差を認めなかった。重症度(日本小児アレルギー学会重症度分類による)別の血清EPX値は,喘息群はコントロール群に比していずれも高値をとり,重症群と軽症群の間に有意差を認めた。 血清EPX値は短期の発作を反映するのではなく,比較的長期間の重症度を反映することがわかった。したがって,血清EPX値は,気管支喘息に対する予防的治療法の選択の指標となる可能性があると考えた。今後は同一患者での長期の血清EPX値の追跡調査,対象をアトピー性皮膚炎にも拡大し,更に検討を進めたい。
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