研究概要 |
Ro/SS-A自己抗体は、シェ-グレン症候群、Lupus Erythematodus(LE)の亜集団であるSubacute cutaneous LE,neonatal LEにおいて高頻度に検出される自己抗体であり、少なくとも3種類の異なった蛋白質とhYRNAの複合体が標的自己抗原とされている。これらのうち46kD Ro/SS-A抗原(Calreticulin)の細胞内動態、及びこの自己抗体に対するTリンパ球の反応性について検討した。 (1)Calreticulinの表皮角化細胞内での動態の検討 ヒト培養表皮角化細胞に種々の刺激を加え、Calreticulinの発現を、特異的抗体を用いて、量的及び質的に検討した。その結果、UVB刺激後、Calreticulin蛋白の発現は約2倍に増加しており、Northern blot法によってmRNAも増加していることが確認された。さらに、flowcytometryにおける検討から、刺激前には細胞質内に分布しているCalreticulinが、刺激後には、細胞膜表面にも発現が認められた。しかしUVA以外の刺激(UVA,heat shock)によってはその発現に変化は認められなかった。 (2)患者末梢血単核球のCalreticulinに対する反応性の検討 LEの患者から末梢血単核球を分離し、リコンビナントのCalreticulin及びCalreticulinのN端、C端に対応する合成ペプチドとともに培養し、3H-Thymidineの取り込み、サイトカインの産生を指標としてリンパ球の反応性を検討したが、正常人コントロールと比較して有意な差は検出されなかった。
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