1.中波長紫外線ultraviolet B (UVB)照射により、培養ケラチノサイト(KC)及びメラノサイト(MC)において、Proopiomelanocortin (POMC)由来ペプチドα-MSH及びACTHの産生・分泌の亢進がみられた。特にKCにおいて分泌の亢進が強く誘導された。UVB照射直前にN-acetylcysteine (NAC)を加えると、このUVB効果は抑制を受けたが、チロシンキナーゼ抑制剤では抑制されなかったことより、この系にはチロシンキナーゼではなく活性酸素が関与していることが証明された。 2.UVB照射によりKCにおいて、活性酸素の消去作用を持つカタラーゼ様作用を有すAdult T-cell leukemia derived factor (ADF)の産生・放出が誘導され、放出されたADFはMCのMSH受容体の結合能及びMSH受容体遺伝子MC1-R mRNAの発現を亢進させることを明らかにした。すなわち、UVB照射により誘導された抗酸化ペプチドはUVBによる色素沈着に重要な働きをすることが、証明された。 3.1と2よりUVBはリガンド(α-MSH及びACTH)とその受容体MSH受容体を共に活性化して、MCの活性化を相乗的に導くことを明らかにした。また、リガンド(α-MSH及びACTH)の誘導が抗酸化剤NACにより抑制を受けること、MSH受容体誘導は抗酸化作用をもつADFにより強く誘導されることよりUVBによる色素沈着誘導には活性酸素及び抗酸化ペプチドが重要な役割を担っていることを明らかにした。
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