研究概要 |
我々は,悪性黒色腫組織(in vivo)において黒色腫細胞表面,細胞質内にMMP-2が発現されていることを免疫組織化学的に確認した。今回染色した症例ではMMP-9の発現が確認できなかった。悪性黒色腫組織35例(原発巣15例、転移巣20例)の染色を行ったが陽性の症例は4例(原発巣1例、転移巣3例)のみであった。陽性の症例でも腫瘍巣は均一な染色ではなく、部分的に陽性所見が得られたのみであった。悪性黒色腫組織において細胞接着分子の発現とMMPの産生に関して原発巣における腫瘍細胞の深達度、転移巣における発現程度と患者の予後,治療効果の関連性の統計的な検討を行ったが、有意な所見は得られなかった。より症例数を増やしての検討が必要と考えられた。 培養悪性黒色腫細胞(in vitro)におけるMMPの産生能力と細胞接着分子の発現を調べ、腫瘍-基底膜の接着、基底膜湿潤能に与える影響を検討した。基底膜湿潤能力との関連性をトランスウエルチャンバーを利用したinvasion assayを行い検討した。ELISAを用いた検討では培養黒色腫細胞におけるMMPの発現は確認できなかった。またinvasion assayにおいて各MMPに対する抗体を添加しても湿潤能力には影響しなかった。コラーゲンなどの細胞外基質に対する腫瘍の接着に関しても検討したが、各MMP抗体は影響せず、主にインテグリン抗体による抑制効果が強かった。湿潤に対するより有効な実験モデルを検討する必要がある。
|