研究概要 |
1.臨床経過観察中の爪白癬の患者より病爪を,歯科用の携帯用ドリルを用い削り取り経時的に検体を採取,生きた菌細胞にしか取り込まれないneutral redを用い染色することにより,生菌の有無を判定,抗真菌剤の殺菌効果を顕微鏡下に確認した. 2.1とは別に皮膚真菌症の患者より分離培養された菌をサブロ-・ぶどう糖寒天培地など適当な培地に接種し,1〜2週間培養し増菌.増菌した歯を用い,一定濃度に調整した菌浮遊液を作製,メンブレンフィルターを底部にシールした96穴ウェルマイクロタイタ-プレート内で,作製した各種薬剤希釈系列にそれらを加え,25〜28℃下で培養,一定時間後にneutral redを添加,さらに一定時間25〜28℃に静置後,吸引濾過,残った沈殿物をホルマリン塩化カルシウム水溶液で固定,洗浄した後,酢酸エタノールを加え菌構造を破壊,この濾液を回収,生菌に取り込まれたneutral red量を吸光度で測定し,各種薬剤の効果を評価した。 3.1の操作を経時的に実施することにより菌のviabilityの変化を速やかに確認でき,その結果,使用中抗真菌剤の薬効をKOH直接鏡検査,真菌培養に比し速やかに評価することができた。 2は従来法(微量液体希釈法)と比較して抗真菌剤の最小殺菌濃度を容易に迅速に測定でき,且つ薬剤の抗真菌力の定量的評価が可能であるという点で,極めて有用な方法であると考えられた。
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