研究概要 |
Contact immunotherapy(CI)の治癒機転モデルとされる扁平疣贅の自然消褪現象において、その炎症期の病変と、合せて非炎症期の扁平疣贅の病変について、組織学的、免疫組織学的検討を加えた。炎症期の病変は下腿から採取したもので、生検後約2週間で疣贅の自然消褪を認めた。非炎症期の病変は上腕から採取したもので、Diphenylcyclopropenone(DPCP)によるCIを施行し一部疣贅の扁平化を認めた。組織学的には炎症期では苔癬型反応を示し、リンパ球の表皮内、真皮への浸潤を認め、表皮の空胞細胞は消失していた。非炎症期では表皮空胞細胞は少数だが扁平疣贅の像を呈した。炎症期の病変の凍結材料にて、浸潤リンパ球の表面マーカーをモノクローナル抗体(Becton、Dickinson社のLeuシリーズ)を用いてABC法で染色したところ、真皮内にLeu 3a優位のリンパ球浸潤を認めた。表皮内への浸潤はLeu 3a,2aともわずかであった。HLA-DRはケラチノサイトの一部に発現を認めた。(非炎症期ではケラチノサイトでの発現はなし。)さらに、炎症期及び非炎症期の病変の凍結材料にて、以下のモノクローナル抗体を用いてABC法で染色した。炎症期;IL-1α,IL-1β,IFN-γ,TNF-α,ICAM-1,ELAM-1、非炎症期;IFN-γ,TNF-α。結果:IFN-γは炎症期、非炎症期とも表皮細胞間橋、血管内皮に陽性で、非炎症期でより強く染色された。TNF-αは炎症期、非炎症期とも表皮全層と血管内皮、炎症期では血管周囲のリンパ球にも陽性であった。尚、炎症期において、IL-1αは表皮基底層、真皮浸潤リンパ球に、IL-1βは表皮全層に、ICAM-1は血管内皮と血管周囲のリンパ球に、ELAM-1は血管内皮に陽性を認めた。IFN-γ,TNF-αが炎症期、非炎症期とも表皮に発現し、IFN-γではむしろ非炎症期の表皮に強く染色されていた点は興味深い。これらの染色態度の意義付けについては今後症例を集積し検討したいと考えている。
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