研究課題/領域番号 |
07770734
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
間賀田 泰寛 京都大学, 医学研究科, 助手 (20209399)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 脳スライス / グルコース / 低酸素 / 糖代謝 / グリアトキシン |
研究概要 |
臓器、組織におけるエネルギー代謝は糖代謝をはじめとして生体にとて根元的な生化学的反応であり、核医学におけるエネルギー代謝機能診断は重要な診断目標である。現在、グルコース代謝診断にはFDGを用いたPET診断が行われている。利用の広汎性を考慮するとSPECTを用いて同様の診断が可能となることが強く望まれるが、適当な放射性薬剤が開発されていないためこれまで可能となっていない。そこで、本研究はSPECTによる糖代謝機能診断薬の開発研究を目的として基礎的検討を計画した。本研究においては、これまでの同様の研究とは異なり、グルコース消費以外の糖代謝関連事象をインビトロの実験系において検索し、これを特異的に画像として評価しうる化合物をデザインするを主眼とした。 その結果、本年度ではインビトロ実験系に於いてラット脳スライスを用いる脳の糖代謝評価システムを確立することができた。すなわち、インキュベーション溶媒中の溶存酸素濃度を変化させ、擬似的に低酸素状態を作成したところ、インキュベーション溶媒中の酸素濃度の低下に伴い乳酸量が増加し、脳内各部位へのグルコース取り込み量がコントロール群に比較して平均1.5倍増加した。これはこれまで報告されている脳インビトロ実験系では再現されていなかった結果であり、低酸素状態により嫌気的解糖系が働き始めたことを示すものであると考えられた。また、グリアトキシン存在下での脳糖代謝変化を測定したところ、コントロール群と比較してグルコースの取り込み量は低下したが、この状態で低酸素負荷を行ったところ、逆にグルコースの取り込みは増加した。このことは低酸素状態での嫌気的糖代謝が神経細胞で活発に起こることを示唆するものであり興味深い知見と考えられた。今後、本実験系を用いてSPECTによる新規糖代謝機能診断薬の評価を行う予定である。
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