1.核磁気共鳴(MR)画像の歪みを精査するために、アクリル製の格子状ファントムを新規に設計・製作した。本ファントムは、内部に各種液を注入可能で、MRIの水平、矢状および冠状の各断面とCT画像の歪みの評価が可能である。 2.上記ファントムを使用し、本院放射線治療部のMR装置(MRP-20EX)の画像の歪みを検証した。複数のパルスシークエンス(スピンエコー法、T1、T2強調画像)を使用して撮影した、水平、矢状および冠状の各7断面の歪みを、各格子位置のずれを測定することにより定量化し、静磁場中心からの距離と歪みの大きさを明らかにした。その結果、静磁場中心より半径100mmの範囲内では、画像の歪みはほぼ2mm以内で、放射線治療計画への使用が十分に可能であることが明らかとなった。 また、同ファントムをCTで撮影し、CT画像の歪みがないことを確認した。 3.臨床応用に向け、MR装置の撮影台の形状を放射線治療台と同様の平板状に加工改造し、従来のMR装置では実現不可能であった治療体位での撮影を可能とした。また、臨床研究として、骨腫瘍患者14例を対象に、X線シミュレータによる放射線治療計画を、照射野情報を示す皮膚マーカー装着下で撮影したMR画像情報をもとに修正・確認してその有用性を明らかにし、MRシミュレータ実用化の可能性を確認した。 4.CT・MR画像の治療計画装置へのオンラインでの転送プログラムおよびCT・MR画像の両方を使用可能な治療計画プログラムを開発中である。 5.現在、以下の研究を予定している。 (1)Rdiosurgery用固定具対応の新コイルの開発。 (2)MRシミュレータとして使用可能とするために、レーザーポインターの移動式への換装。 (3)MR画像の歪み補正用コンピュータプログラムの開発。
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