実験的研究では前立腺肥大症系成大(BPH犬)10頭を対象に本施設で所有する超伝導MR装置(GE社製SIGNA1.5T)を使用しBPH犬の前立腺を撮像した。その後前立線を摘出し5mmごとの病理ステップセクションを作成した。これよりBPHを腺腫過形成部分、線維筋組織等の間質部分部分にわけMR像と病理像の対比を行った。これより我々はBPHを腺組織優位型、間質組織優位型および混合型の3型に分類した。 臨床的研究においては臨床的にBPHと診断され1ヶ月以内に経尿道的前立腺摘除術(TURP)施行予定の患者24名を対象とした。術前にMRIを撮像しBPHを実験的検討により得られた3型に分類した。TURPにより得られた病理像とMR像対比した。MR像と病理像は24名中22名で合致した。MRによるBPHの組織型分類は病理像を良く反映していることを証明した。 前記とは別に臨床的にBPHと診断され薬物療法施行予定の患者12名を対象に治療前にMR像を撮像した。同様にBPHを3型に分類し腺組織優位型および混合型にはアンチアンドロゲン剤とβ-blockerを間質組織優位型にはβ-blockerのみを投与した。投与後全例において重篤な副作用もなく一時的に症状が緩和している。今後症例を重ね長期観察を必要とすると思われるがBPHにおける薬剤療法においてMRによる治療前診断は副作用を軽減する意味で有用であると思われる。
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