研究概要 |
研究計画書に従い、強迫性障害患者を対象とした脳機能的異常に関する研究をMagnet oencephalography(MEG)を中心として行っている。現在のところ5例の強迫性障害患者が研究に同意し参加したが、当初予定していたPET studyについては,全例で同意が得られず施行できなかった。これらの患者は全例が入院患者で、非構造化面接の中で、現病歴や生活歴、家族歴などを聴取後、Yale-Brown Obsessive Compulsive Scale(Y-BOCS),Manifest Anxiety Scale(MAS)などを施行し、いずれも5名の年齢を一致させた健常ボランテイアより有意に高値であった。MEGの測定は当院が所有する日本超伝導センサ研究所製16チャンネルの生体磁気装置を使用し、予めMEGに合わせて部位をマークして撮影したMRI上に、MEGデータを当院が所有するSunワークステーションで処理してスーパーインポーズを試みた。MEGの測定は当初の予定の様に、プラスチックチューブを用いたodd-ball課題下で行われた。今回は特にN100,P200といった早期成分の相違に注目していたが、現段階では収束演算で理論上推測される局在推定で、健常者間、及び治療前後で有意な相違を認めていない。これには、対象者数が少ないこと、チャンネル数がより精密な局在推定を可能にするには不足していることなどの要因が考えられる。しかし当院では今春に37チャンネルのSQIUD磁束計に変更予定であり、今回の科研費によりデータ処理の能力を充実できた為、この研究を今後も継続し報告する予定である。
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