研究概要 |
移植片対白血病(GVL)効果の増強を目指して、骨髄移植後の再発白血病に対するドナーリンパ球輸注療法(DLT)をおこない、臨床経過の解析と基礎的な検討を試みた。すなわち、11名の再発患者[急性骨髄性白血病(AML)4名、急性リンパ性白血病(ALL)6名、白血化非ホジキン悪性リンパ腫1名](年齢:12-44才;骨髄中の白血病細胞:1-95%)に対して骨髄ドナーからCOBE Spectra apheresis systemを用いて抹消血単核細胞(1×10^7-3.2×10^8/kg;計21回)を採取し輸注した。11名中で骨髄中白血病細胞がそれぞれ16%、10%、10%であった3名(AML : 2 ; ALL : 1)の患者において、DLT後に白血病細胞の5%未満までの減少効果を認めた。この中で白血病細胞減少効果を認めた1例(IMS-122 : DLT後day30)の抹消血単核球から樹立した細胞株と無効であった1例(IMS-151 : DLT後day57)から得た抹消血リンパ球を用いて細胞障害試験をおこなった。IMS-122由来の細胞株はフロー・サイトメトリーを用いてT細胞/NK細胞の表面抗原(CD4, CD8, CD56)の検索によりT細胞/NK細胞の検討をおこなった。targetとして白血病細胞株(K562、Daudi、KG-1)と凍結保存した自己の白血病細胞を用いた(E : T ratio=30 : 1)。IMS-122由来の細胞株のうち、CD4+クローンおよびIMS-151由来リンパ球による自己白血病細胞に対する細胞障害効果が認めなかった。一方、CD8+であるClone 15とClone 40は、骨髄性白血病細胞株であるKG-1と自己のAML細胞に対して60-80%の細胞障害効果を示した。現在、これらのクローンが認識すると思われる腫瘍抗原の存在について検討を予定している。
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