研究概要 |
抗腫瘍剤による白血病細胞のアポトーシス誘導機構に関して、特にアポトーシスに密接に関与すると考えられるエンドヌクレアーゼおよびプロテアーゼ同定することを目的として、検討を実施し、以下の結果が得られた。 【結果】 1)抗腫瘍剤VP-16処理によるMg^<2+>依存性endonucleaseの活性化: HL-60細胞を20uM VP-16と共に3時間培養するとladder DNA fragmentationが認められた.この時点における細胞内に依存するMg^<2+>依存性endonucleaseの活性を^3H-E,Coli DNAを基質として測定したところ、無処理のcontrol細胞と比して6倍の上昇が認められた. 2)プロテアーゼ阻害剤によるアポトーシス阻害効果: Interleukin 1-β-converting enzyme(ICE)阻害剤であるVAD-FMK、セリンプロテアーゼ阻害剤TPCKの両者は非常に強くVP-16によるladder DNA fragmentationを抑制した.TPCKまたはVAD-FMKによりDNA fragmentationが阻害された状態にある細胞のMg^<2+>依存性endonuclase活性を^3H-E.Coli DNAを基質として測定したが、未処理control細胞と比して有意差を認めなかった. 【結論と考察】白血病細胞HL-60にetoposideを作用させアポトーシスを誘導した際には、Mg^<2+>依存性endonuclease活性化されapoptosisが誘導されることが示唆される.また、このendonucleaseの活性化過程においては、ICEまたはICEと類似の酵素、およびセリンプロテアーゼが関与していると考えられる.
|