研究概要 |
Fasを介さないアポトーシスを誘導する,骨髄腫細胞表面抗原のクローニングを試みた.骨髄腫細胞株KHM11を免疫原として用い,型のごとくマウスハイブリドーマを作成した.二回のcell fusionで103個のcloneを得た.96well plateに抗マウス-IgG抗体をcoat後,ハイブリドーマ上清中のモノクローナル抗体をクロスリンクさせ,最後にKHM11を添加し,その増殖をtritium thymidineの取り込みで測定した.その結果,すべてのcloneは,KHM11の増殖を最大10%程度増加させ,目的とするアポトーシス誘導抗体は得られなかった.フローサイトメトリーによる解析でもcell shirinkingを誘導するクローンが2個得られたものの,アポトーシスの誘導は確認できなかった.これらは当初の目的とは異なった結果であったが,ハイブリドーマfeeder用のマウス腹腔マクロファージ上清のみでもKHM11の増殖刺激が得られたことから,マクロファージ由来の何らかのサイトカインがKHM11の増殖刺激因子として作用していることが示唆された.事実IFN gammaはKHM11の増殖を刺激することが確認された. 一方,骨髄腫細胞にはFasを介さない自然の培養条件でも起こるアポトーシスがあることが確認され,その程度は細胞株,症例間で異なっていることが確認された.今回は,アポトーシスを誘導する新しい表面抗原は得られなかったが,今後,このようなアポトーシスが惹起されるメカニズムを解明したい(平成8年度奨励A申請中).
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