1)in vitroにおける造血支持能の解析:造血支持能を有しない非造血組織由来の間質細胞にマウスCD34を発現させる。CD34を発現しているクローンと、造血細胞を共培養し、脾コロニー形成細胞(CFU-S)を測定する。この実験では、CD34を発現するクローンが有意にCFU-Sの数を維持し得た。今後、抗体による阻外等の特異性の検討を行う予定である。 Wnt遺伝子は、ショウジョウバエの体節形成に係わる遺伝子として同定されたWinglessと構造的に相同性を有する遺伝子である。今回我々が同定した遺伝子はWnt10Bであることがわかった。この蛋白の精製は従来困難であるとされてきたが、バキュロウイルスの系を用いることで、可溶性蛋白として培養上清中に検出された。この蛋白を抗体カラムを用いることで精製を行った。このWnt蛋白は、リガンドとして作用する可能性があることより、その結合蛋白の同定が、作用機序の解明に有用であろうと考えられる。そこでWnt蛋白と各種培養細胞を反応させ、特異的に結合する細胞株の同定を試みた。次いで、このWnt蛋白をヨード評議することにより、結合蛋白の同定を行った。in vitroでの作用を解明する目的で、このWnt蛋白を用いて、骨髄細胞のコロニーアッセイを行った。Wnt蛋白は用量依存性にコロニー形成を阻害した。これらの結果は、Wnt蛋白が造血細胞の分化・増殖に何らかの作用を持つ可能性を示しており、現在実験中である。
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