1.正常者および副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症術後において、citrateによる低Ca刺激およびCa gluconateによる高Ca刺激によって、PTH分泌は逆sigmoid曲線状の変動を示した。 2.この曲線を解析した結果、副甲状腺細胞の細胞外Caに対する感受性の新たな指標として我々の提唱している基礎分泌と最大分泌の比は、細胞外Caの基礎れべると、逆sigmoid曲線状の関係を示した。 3.この関係は、最大分泌能の高低やピタミンDの投与の有無には左右されることなく保たれていた。従って、この曲線は、細胞外CaとPTHの基礎分泌の基本的な関係を示すものと考えられる。 4.基礎分泌と最大分泌の比と細胞外Caの基礎レベルとの逆sigmoid曲線状の関係は、原発性副甲状腺機能亢進症においても認められたが、その曲線は、上記の疾患において認められたものより右に変移していた。すなわち、より高い細胞外Caレベルにresetされていた。 5.このような症例において、Ca sensing receptor遺伝子をPCR-SSCPおよびdirect sequencingにて解析したが、家族性低Ca尿性高Ca血症において報告されている第1エクソン、第3エクソンおよび第6エクソンの変異は認められなかった。 細胞外Ca濃度を感知するレセプターは他にも存在するとの報告もあり、それらにおける変異の有無を検討していく必要があると思われる。
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