S.D.ラットの腎動脈クランンプによる一過性腎虚血による急性腎不全モデルを作製し、腎皮質、髄質よりm-RNAを抽出した。94年にこれまでリガンドが不明であったeph familyの受容体型チロシンキナーゼのリガンドが相次いでクローニングされ、リガンド間のhomologyも確認されたため、それらのアミノ酸配列をもとにプライマーを作製しRT-PCRを試みたが特異的なバンドは得られなかった。 一方、グリア細胞より抽出精製クローニングされた増殖因子であるFGF9のmRNAが腎臓に特異性高く発現していることが明らかとなったため、recombinant FGF9を黒川勉博士より供与を受け、腎尿細管細胞にたいする増殖能、hypertrophy誘導能を検討した。近位尿細管由来のOKP細胞、MCT細胞、ならびに、遠位尿細管由来のMDCK細胞を用い、ヘパリンの存在下、非存在下においてFGF9を作用させ、DNA量、蛋白量を定量することにより増殖能の検討を行ったが、いずれの細胞においても活性は認めなかった。ついで、FGF9が腎より産生されている可能性を検討するため、黒川博士より供与をうけた3種類の抗FGF9抗体を用いてラット腎組織の組織染色、western blotを試みたが、特異的染色、バンドは得られなかった。また、尿中に排泄されている可能性を検討するため、ラット尿でwestern blotよる解析を行ったが、特異的な抗原を認識することはできなかった。さらに、抗体の特異性を上昇させる目的、又、蛋白質を濃縮する目的で腎抽出蛋白、ならびにラット尿より免疫沈降を行い、別種の抗体にてWestern blotを試みたが特異的なバンドは得られなかった。
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