研究概要 |
極低出生体重児の体構成(body composition)を総脂肪量、非脂肪量、骨塩量にわけて評価するために、Dual energy X-ray absorptiometry(以下、DEXA)を用いた。 重篤な合併症がなく、比較的順調に経過した出生体重700〜1300gのAFD児10例を対象とした。在胎29.5±1.5週、出生体重1156±165g (mean±SD)であった。全例、母乳で栄養を開始し、日齢35より蛋白質、ミネラル主成分とする母乳強化パウダーを母乳に添加した。修正40週の時点で、DEXAを用いて、体脂肪量、非脂肪量、骨塩量の測定をおこなった。測定時の体重は2340±256g (mean±SD)であった。測定に際しては、トリクロホスナトリウム0.7ml/kgにて鎮静させた。各対象児につき2回の測定を行ない、同時再現性について検討した。また、従来われわれがおこなってきたcomputred X-ray densitometry (CXD)による橈骨の骨密度を測定し、DEXAによる全身骨塩量との相関関係について検討した。 1回の測定に5分間必要とした。同時再現性については、骨塩量の場合変動係数3%、総脂肪量および非脂肪量では変動係数はそれぞれ2%、2.5%であった。修正40週時点での骨塩量は70.5±8.5g、総脂肪量は518±45g(体重の22±2%)、非脂肪量は1822±53gであった。CXDによる橈骨遠位端1/3部位での骨密度とDEXAによる全身骨塩量には有意な相関関係が認められた(r=0.62, P<0.008)。 今回の検討から、DEXAは新生児、未熟児にも十分応用可能であると考えられた。今後、本法を用いて極低出生体重児の栄養法別の体構成に関して検討していきたい。
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