リンフォトキシン(LT)および腫瘍壊死因子(TNF)はヒトT細胞由来リンフォカイン活性化キラー(T-LAK)細胞の成熟と増殖において重要な役割を果たしている。55-kDaと75-kDaのTNFレセプター(TNF-R)がT-LAK細胞の細胞凝集と増殖能に果たす役割を、TNF様の活性を持った抗TNF-R家兎ポリクローナル抗体を用いて検討した。ヒト末梢血T細胞とT-LAK細胞は75-kDa TNF-Rを主に発現していた。成熟過程において、T-LAK細胞の増殖能は自ら分泌するLTとTNFによって維持されている。この過程において、抗55-kDaではなく抗75-kDa抗体がT-LAK細胞の増殖能を上昇させた。T-LAK細胞の凝集反応はLTとTNFによって誘導された。抗55-kDaではなく抗75-kDa抗体はこの凝集反応を誘導した。この細胞凝集反応に伴って接着因子ICAM-1の発現上昇を認めた。しかし、同じく接着因子であるLFA-1の発現性は変化しなかった。また、細胞膜液性可動性が上昇した。抗55-kDaでなく抗75-kDaレセプター抗体によって同じ反応が認められた。興味あることに、細胞成熟後はLTとTNFによってT-LAK細胞の増殖が抑制された。この反応も抗55-kDaではなく抗75-kDa抗体によって再現された。以上の結果により、75-kDa TNF-RはT-LAK細胞の細胞凝集と増殖反応を司っていることが明かとなった。
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