研究概要 |
熱傷患者における創感染とCatheter Related Sepsis(CRS):汚染III度熱傷創における全身的抗菌剤の予防的効果と移行性 【目的】中心静脈カテーテル留置下,汚染熱傷創に対する抗菌薬経静脈的投与におけるIII度熱傷創の創内薬剤濃度の影響と細菌抑制効果について検討した.【方法】ペントバルビタール麻酔下のラットを用い,背部に作成したIII度熱傷創に10^2cfu/cm^2または10^4cfu/cm^2のS.aureusを塗布した.ガ-ゼ固定後,上大静脈に先端が来るように中心静脈カテーテルを10日間留置した.セフェム系抗菌薬CFLPを5日間,100mg/kg/day静脈内投与し,それぞれ投与1時間後に,創を切除し薬剤の創内濃度及び細菌数について検討した.【結果】細菌数(log cfu/cm^2),血液からのS.aureus検出例,熱傷創内のCFLP濃度(μg/g)は,次の通りであった.S.aureus 10^2群のCFLP非投与,2日0(0/5),4日3.1±1.0(0/5),7日5.6±1.9(0/4),10日7.7±0.6(0/4). S.aureus 10^2群のCFLP投与,2日0(0/5)11.2±3.5,4日0(0/5)5.5±3.1,7日0(0/5)未測定,10日1.4±1.1(0/5)未測定.S.aureus 10^4群のCFLP非投与,2日8.4±0.2(0/5),4日9.5±0.2(0/5),7日10.1±0.6(1/4),10日9.4±0.3(3/3). S.aureus 10^4群のCFLP投与,2日4.7±0.2(0/5)12.1±3.6,4日4.1±0.5(0/4)28.9±7.0,7日7.7±1.6(0/3)未測定,10日9.7±0.2(3/3)未測定 【結論】1.塗布した細菌数はCRS発症に影響した.2.CFLPによりBurn Wound SepsisとCRSは抑制された.抑制効果は,経静脈的投与CFLPのIII度組織内への良好な移行性によるものであると考えられた.
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