肝循環シミュレーションモデル作製のため、肝切除術前後の門脈圧を測定した. 〔対象〕正常肝群:正常ビ-グル成犬 5匹(すべて肝2葉切除) 肝硬変群:手術患者3例(肝右葉切除2例、肝左葉切除1例) 〔方法〕手術前後で次の3項目を測定した.1.門脈圧 2.門脈血流量 3.総肝動脈血流量 全身麻酔下に開腹し、腸間膜静脈からCVP測定用の16Gカテーテルを挿入して先端を門脈内に留置した.圧トランスデユーサー(現有設備)とトランジットタイム血流計(現有設備)を用いて肝切除前に上記3項目を測定した.その後出来る限り短時間で肝切除術を施行し、循環動態の回復を待って再度3項目を測定した. 〔結果〕術前平均門脈圧 術前平均門脈血流量 術前平均総肝動脈血流量は 正常肝群: 8.2mmHg 184.3ml/min 135.6ml/min. 肝硬変群: 15mmHg 432.6ml/min 228.8ml/min 術後平均門脈圧 術後平均門脈血流量 術後平均総肝動脈血流量 正常肝群: 7.3mmHg 154.2ml/min 89.0ml/min 肝硬変群: 18mmHg 382.4ml/min 185.4ml/min 肝切除術前後で、循環動態の一定の変化が認められず、シミュレーションのためのparameter設定までには至らなかった.しかし、より多くの実測値があれば、正確な切除限界設定のためのモデルが作製可能であると考えられる.
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