研究概要 |
ラ島が長期に機能を維持するために必要な条件のひとつとして,膵管上皮細胞のラ島栄養効果の検討を試みた。まず,本実験に先立って,胎児・新生児・成熟ブタの3種類を対象として,ラ島と膵管上皮細胞の採取条件を模索した。 実験1:初めに,新生仔ブタよりコラゲナーゼ消化法によりpureなラ島と,また別個に膵管上皮細胞を各々得ることに成功した。これらを1群:ラ島,2群:膵管上皮細胞,3群:ラ島-膵管上皮細胞混合にわけて各々分取し,アガロース-コラーゲンゲルを用いた三次元培養を行った。液体培地として10%FBS添加RPMI1640を使用し,長期培養を試みた。結果,膵管上皮細胞の入ったゲルではゲルの融解がおきてしまい2週間以上の三次元培養は不可能であった。線維芽細胞の増殖が原因と思われたが,さらに線維芽細胞の増殖抑制下に培養を行うことについて検討中である。実験2:次に膵管上皮細胞そのものは潜在的には胎児膵においてラ島への分化成熟に関与する割合が大きいだろうという推測の元に,胎児ラ島と成熟ブタラ島の混合培養に関する実験を行った。ブタ胎児からはコラゲナーゼを用いた振盪消化法によりラ島を採取した。液体培地での培養を追加することで純度を高めることができた。成熟ブタからは女子医大大河原等の方法に基づいた機械的消化法によりラ島を得た。1群:胎児ラ島,2群:成熟ラ島,3群:胎児-成熟ラ島混合とし,各々分取し,三次元培養とした。4週間の培養を行い,経時的に,培地およびゲル内のタンパク量,シンスリン,アミラーゼ,及び膵管上皮細胞の活動性の指標としての炭酸脱水酵素の定量を現在測定中である。
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