研究概要 |
BALB/cマウスをdonor, C3H/Heをrecipientとして.腹腔内異所性心移植を行い,移植後,抗CD80抗体(1G10),抗CD86抗体(GL1)を単独で各々100μg,また併用で各50μgを5日間腹腔内投与した。 1)移植心の中間生着日数は,抗体無投与群で移植後8日,抗CD80抗体投与群で11.5日,抗CD86抗体投与群で22日,併用投与群で100日以上であった。 2)併用投与群3例にdonorであるBALB/cマウスの背部の皮膚を全層移植すると全例に生着したが,third partyであるC57B/bマウスの皮膚は14日以内に拒絶され,抗原特異的トレランスが誘導されたものと考えられた。 3)混合リンパ球培養を,未移植群(以下N : Naive),トレランス群(T : Tolerant),拒絶群(R : Rejected)を反応細胞,BALB/cマウスの脾細胞を刺激細胞として行い,^3Hの取り込みを比較した。R群>N群>T群であり,またrIL-2の添加を行うと,各群とも取り込みの増加を認め,特にT群では,N群のレベルまでではないが著しく回復した。 4) ^<51>Cr遊離法による二次的に誘導したCTLのアロ抗原に対する細胞障害活性を同様に比較すると、R群>N群>T群であり,特にT群では著明に抑制された。またrIL-2の添加により,細胞障害活性の部分的な回復を認め、これらの結果によってトレランスの維持機序として,clonal deletionよりも,anergyの関与が大きいものと思われた。 今後,抗ドナー抗体の測定,サイトカインの定量を行い,このトレランスにおける液性免疫やヘルパーT細胞の機能について検討する予定である。
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